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さてさて、話はメンチカツに戻ります。

この料理は、前述の京都にある洋食店をオマージュしつつ、短編食堂の信念みたいなもののフィルターを通して表現できた、ある意味シグニチャー的料理だなと自分の中では思っています。

初めてメンチカツを提供を始めたのが、おそらく2023年頃。
つまり、継ぎ足し始めて5年くらい経ったデミグラスソースだったからこそ、ようやくその深さと苦みになり、ブルーチーズとの相性が良くなりそうだなと感じたからです。

これから先、何度継ぎ足そうとも、きっと短編食堂らしいデミグラスソースになってくれるだろうと思いました。
なぜなら、費やした年月が短編食堂だけのものだからこそ、唯一無二のデミグラスソースに自然となってしまうからです。
これで、ようやく洋食店としてスタートラインに立てたような気持ちでした。

何事も真剣に取り組んでいれば、賛否両論がついてまわるもの。
そして、全員に好かれることなど不可能で、一方、肝っ玉の小さい僕は、誰かに嫌われるのもできれば避けたいタイプ。

とは言え、洋食店として開業したにも関わらず、何故かカフェと勘違いされたことで、当時Instagramの普及による承認欲求モンスターの蔓延も相まり、写真を撮るためだけに 飲食店や食べ物を被写体として個人的に利用し、他のお客様やお店側に迷惑をかけることを厭わないモンスター達に困っていた忍耐の数年間。
(カフェ好きな常連様もたくさんいらっしゃいますので、そういうお客様とは全く別人種のことです)

焦げ茶のデミグラスソースの上に、黄金色のメンチカツを乗せただけの、当時の表現で言えば、“全く映えない”茶色い料理だったけれど、
“うちは洋食店をやりたいんです”
という決意表明みたいな料理を、シンプルな盛り付けに潔さも込めて、モンスター達にカーフキックをお見舞いするような気概を示すお皿にしたかった。
と同時に、一番に届いて欲しかったのは、食べることが好きで人情味にあふれ、五感で味わうような外食が好きな方々にでした。
完全なエゴではありましたが、少しでも記憶に残るようなお皿になればと提供を始めたメンチカツ。

ブルーチーズが好きな方には、ぜひデミグラスソースを絡めてメンチカツを召し上がっていただけると嬉しい。そして もし可能ならば、赤ワインと楽しんでいただけると より豊かな食卓になりそうです。

デミグラスソースは12月で9年目を迎えることができました。それは、こんな意固地な短編食堂にも関わらず、御愛顧くださる皆様のお陰です。本当にいつも有り難うございます。
引き続き、歩幅を合わせ 少しずつ歩いていけると幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。


ゆっくり食事を楽しみながら
自分へのご褒美の日
お誕生日などお祝いの日にも

どこでも食べられそうで
たぶんここでしか味わえない洋食で
どこか安堵するような時間を


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